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アイアンショット

文:needlework編集部

ゴルフにおけるアイアンショットは、実に幅の広い対応策です。そういう意味で言えば、経営の大半はアイアンショットばかりというイメージでしょうか。刻んで打つのか、ある程度中長期での戦略を打つのか、コース内に落とすのか、そもそもコースにいるのか。環境を読み、チームの状況を鑑みながら戦略を進めていく感覚は、アイアン片手に歩を進めていくという感覚に近いのかもしれません。とはいえ、ドカンとドライバーで勝負にでたり、最後にパターで丁寧に仕上げが必要な場面も確かにあります。

そういう意味では、私は特にアイアンショットを打って打ってというスタイルで、経営と向き合ってきたようにも思います。たとえば、海外の生産パートナー企業を見つける時も、大規模なところをいきなり見つけるような方法ではなく、小さな発注を積み重ねていき信頼を積み上げていくような方法をよしとしてきました。そのプロセスの中で、資金回収ができなくなったりという手痛い経験もしていますが、概ね、同じコースを厳しくも楽しく巡ることができる企業との関係を築けてきたと実感しています。

国内海外例外はなく、基本的には小さな案件、中規模な案件を、しっかり定期的に出し続けることができるかどうかのほうが、大規模案件を提供するよりも関係構築上は有効だと思います。定期的に出すことはもちろん大変ですが、そのために我々も販売や企画力を磨かなければならないという相互意識が醸成されます。良い品質の向上との連携は、自分たちにとっても死活問題ですから、どちらが上下ではなく、やはりパートナーとしての関係構築を意識し続けることが求められます。ゴルフもそうでした。プレイヤーだから偉いのではなく、自分を助けてくれる人が関わり続けてもらえるようにできるかどうかが重要だったことを思い出します。

アイアンショットを撃ち続けていくことは、確実にグリーンに近づけていくということでもあります。しかし、経営におけるコースは果てがない。確かにところどころに、小さなグリーンがあり、ホールが終わっていくように思いますが、ひょっとしたらまだ2ホール目くらいなのかもしれませんし、実はまだホールのグリーンに辿り着いていないのかもしれません。とはいえ、アイアンショットの精度を磨き、数をこなし、前へ前へとボールを進めていくことに変わりはありません。起伏のとんなフィールドの場合も、平坦な場合も、多種多様な環境を楽しみながらヤマツネは今日もフィールドで新しい一振りに挑んでいます。